「 よしいいぞ! 絶好の位置じゃ! 」 「 師匠! ミサイルを! 」 「 よぅし! まかせておけい!!(これ・・だろうか?) 」 「 ありゃ!? 発射せんぞ!? 」 「 えぇと・・これか!? 」 前面パネルに並ぶディスプレイ端末の操作は師には理解不能であった。 コンピュータ制御による最新の自動火気管制システムは老兵には敷居が高すぎたのだ・・・ そもそも唯一胴体に取り付けられた4発のミサイル「スカイフラッシュ」は中距離用のもののため、 射撃適正距離ではないとコンピュータは判断し発射は不可能であったのだ。 その時、アンドレアス機は不意を突かれ背後をとられた。 「 しまった! 」 しかし一方のシャンペール組も状況は困難を極めていた。 「 セバスチャン! いまだ!! ミサイル発射! 」 「 ハ・・ハイ! お坊ちゃ・・ウプッ! 」 「 ウボゲェェェェ〜〜〜〜〜!!! 」 ミサイルを発射する代わりに、セバスチャンは別のものを発射した。 ( 食事中の人よ、スマヌ ) 他人の操縦によるコンバットフライトで、機体は予期せぬ激しい挙動をし、 普段このような経験をしていないセバスチャンは乗り物酔いの局地を味わっていたのだ。 「 セ! セバスチャン大丈夫か! 」 「 なんの!これしき! グボァァァ〜〜〜〜発射ァァァ〜〜〜! 」 またしてもミサイルの代わりに、セバスチャンは別のものを発射した。 ( かえすがえす食事中の人よ、スマヌ ) ようやくミサイルを発射するも、それは空しくあさっての方向に飛んでいった。 その後数度に渡り互いに背後を取り合う激しいコンバットフライトが繰り返されたが、 両パイロットとも、自分のパートナーの限界を訴える喘ぎ声が激しくなったため、 戦闘を止め、引きかえらざるを得なかった。 碧空に、アンドレアスは苦い思いを、 シャンペールは酸っぱい思いを抱き基地に帰投した。 機体を失うことはなかったが、両パイロットとも、 この機体に乗ることはもう2度とないな、と思った・・・・ |