【 アホンダラ達の空 】

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◆◆◆ 銅鍋で作ったシチューは美味 ◆◆◆


−−− 前回までのあらすじ −−−

元オギリス空軍の、鉄拳吹き荒れる暴力女、ドリス=メルヴィルは、
退屈な任務にうんざり、思い付きだけで自軍の採掘マシンを単機で破壊する。
自らの天才的な腕に惚れ惚れ、ところが、…というか、
基地に帰還したドリスを待っていたのは厳罰だった。

辛くも(?)ショップの少女に条件付きで助けられ、
パイロット志望の少年ユーラに戦闘機の乗り方を教えつつ、
イシケン軍陣営に亡命するのであった。



某日、某所、ドリスとユーラを乗せたSK37は、ショップの少女が用意した航路を順調に飛行していた。
「そろそろ始めようか?ユーラ」
「はい、お願いします。ドリス先生」
お?始まるんですね?レクチャー
「まずは私が書いたマニュアルをよく見ておけ、オギリス軍の戦闘教本を元に書いた。
使えんと判断したものはゴッソリ削って私流に要約してある。短くて読みやすいだろ?」
「…は、はあ」
…独断でゴッソリ?…まあいいか、SK37は基本的な機動を繰り返しながら、
ショップの少女が用意したマップに書いてある給油ポイントを目指す。

ポイントの飛行場が見えてきた頃、
「さて、スラストリバーサーか、懐かしいな…はい、オープン!」
…給油ポイントに辿り着いたドリスとユーラを待っていたのは…

「いらっしゃいませ〜っ!!」
…ショップの少女だった。

「あれ?いつ先回りしたの?」
ドリスの問いはあっさりかわされ、
「まあまあ、さ、給油しますから、あそこのテントで紅茶でも飲んでって下さいね!」

少女はニコニコしながら数人のスタッフと作業を始める。

「紅茶?気が利くねぇ!何があるの?」
「ウバです。」
ドリスは嬉々として紅茶を飲む。

「…先手必勝…ぶつぶつ…容赦なく全弾…」
その頃、ユーラはドリスが書いたマニュアルを読み漁っていた。大丈夫か?そのマニュアル

やがて給油作業も終わり、
「ユーラ、今度は私が前席に乗る」
「はい」
給油完了後、SK37は速やかにタキシングに入る。
「さて、あとどの位飛んだら着く?ユーラ、マップを見てくれる?」
「えっと、あと○○マイル、ラスア国境まであと少しです。」

そんなこんなでラスア国境、ドリスの目つきが変わる。
「ユーラ?ここからは空戦が起きるでしょう。まずは空気に慣れなさい」
「はい!教官」
コックピット内の空気が急激に張り詰める。

…数十分後…
「教官…何故誰も来ないんでしょうね?」
「…解らない、こんだけ目立つ機体だし、1機位来ても良さそうなもんだが…」
二人は外の景色に目を移し、即座に己の目を疑った。
地上に文字が描いてある。

『ようこそババロアスキへ!』
『お土産に銅鍋は如何?』
『ババロアスキ名産、ジャガイモ』
『ババロアスキ名物、特製ボルシチ、ピロシキ2個付き○○ラーベレ(ルーブルのアホンダラ名)』
『お友達のお誕生日にペリメニは如何?ご予約受付中!!』
『基地まであと少し!頑張れ!!美味しいボルシチが待ってるよ!!』

…とまあこんな事が描いてある。
しかも、飛行ルートに沿って見えるように計算され尽くしている。

ぐぅ〜っきゅるる…ぐぐぅ…
「ドリス教官、お腹…空きましたね…」
「ああ、ユーラ君、ここに来てから、何か気が抜けるような気がしない?」
「ええ…」

…さらに5分後
ぐぐぅ〜っ!きゅきゅきゅるる…ぐぐぅ…ぐーっぐぅ〜っ!きゅきゅきゅるる…ぐぐぅ…ぐぉーんっ!
「ダメ、もう頭が回んないわ」
「僕も同感です。教官」

その時、二人のSK37に怪しい影が突っ込んでくる、後方警戒アラームに気付いたのはユーラだった。
「きょ、教官!?敵機です」
「チッ!MiG−21か、反転してケツに着く!敵機から目を離すなよ!ユーラ」
ドリスは機体を華麗にロールさせ、MiG−21の後方に着く…筈だった。
ところがバックを取るどころか逆にピッタリ着かれ、あまつさえロックオンまでされた。

「…おぅい、止めようよぅ…撃たないでおくれよぅ、こっちも撃たないからさぁ」
気の抜けるようなおっとりした声がノイズと共に聞こえてくる。

「み、MiG−21から直接通信の様です」
怯えるユーラをよそに、ドリスは観念したかのように
「負けたよ、投降する。こちらはドリス=メルヴィル、そして民間人のユーラだ。」

「…あぁっ!『所属は』って聴くの忘れてたよぅ。ねぇ、何処から来たの?」
呑気な語り口を聴いてすっかり戦意喪失したドリスとユーラ、

「ショッパイヤ平原から脱走してきた」
「そっかぁ、大変なんだね、じゃ、僕に着いておいでよぅ」
「…」

「ねぇねぇ、その飛行機何て言うの?教えてよぅ」
「…ビゲンって言う名前だ」
「また後で僕も乗ってみたいな、いい?」
「…ああ、別にいいけど…」

すっかり疲れ切ったのか、MiG−21パイロットのペースに呑まれっぱなしのドリス、
ユーラは既にグロッキー状態だった。

やがて、軍基地らしき物が見えてくる。
その滑走路にも
『ショッパイヤからお疲れ様、降りてきて一緒に食事でもどうだい?』
…と、描いてある。

「ねぇ、お腹空いてるでしょ?僕と一緒に降りて一緒にご飯食べようよぅ」
MiG−21の誘導に従い、二人を乗せたビゲンは疲れたかの様に着陸体制に入っていった。

(気が向いたら続く)

◆◆◆ 製作者:イソップ 氏 「 MiG−21SMT 」 ◆◆◆







◆◆◆ キットレビュー ◆◆◆

フジミのMiG−21SMTです。前回のbisの主翼の失敗を克服すべく製作しましたが、
今度はキャノピーが製作中に脱落、接着ミスでこのような無様な姿に…申し訳ない、
ただ、ハンプバックは、bisよりも今回のSMTの方が大きい分、合いが良かったです。
今回は外側パイロンに、前回のbisと今回のSMTで余った燃料タンクを二つ着けました。
カラーリングはその場の思い付きながら結構気に入ってます。ナンバーは全て黄色に統一、
ハセガワのデカールも悪くない?なんて思いましたね。



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