【 アホンダラ達の空 】

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◆◆◆ 酒の当てが無いならスルメでも喰え ◆◆◆


−−− 前回までのあらすじ −−−

元オギリス空軍パイロットのドリス=メルヴィル(27歳独身)はショッパイヤ平原に傭兵としてやってきた。

機体調達ミスに激怒、店員の少女にブチ切れ、
大事な機体を黄色に塗られ、少女をブチ殴り、
彼氏が居ない事を指摘され、少女をブチ蹴り、
おばさんと言われて、また激昂、
バナナ色に塗られたホークは大空へと飛び立っていった。



…んで、ドリスさんがショッパイヤ平原にやってきて、一ヶ月ほど経った。

その間に何かあった事といえば、ドリスに飛行機を売ったショップ『メタルリンク』が経営拡大の為に、
名前を『グレムリン』に変えたぐらいかな?
…暴力女はどうしたって?ああ、ちゃんと仕事してますよ。

「あ〜あ、暇だな…」
ホークを駆る女性パイロット、ドリスは無人偵察機を次々に機関砲の一発撃ちで撃墜していた。
無人機を屠ったドリスの目に映るのは、地上を蠢く自軍の大型無人採掘マシン…それを眺めて呟く…、

「…硬そうだな、あれ、ひっくり返したら壊せるかな…」

んで、閃いたドリスさんはやってみた、
まず、窪地にサイドワインダーを投棄、採掘マシンが拾いに来るタイミングを見計らって、採掘マシンの正面をキープ、
マシンがサイドワインダーを掴み掛かった所で、それを機関砲一発撃ちで破壊、
…世の中面白いことはあるもんで、マシンが仰向けになった上に機関砲弾全弾叩ッこんで破壊出来てしまった。

「ひゃっほう!!」
意気揚々を基地に帰還したドリスを待っていたのは…

「何をしとるんだ貴様はーっ!!」

司令にめっさ怒られた。まあ当然の事である。無論これだけでは済まない、罰金、禁固も待っていた。
金額は、ん〜と、ラプターが買えちゃう金額だった。

とりあえず、独房にぶち込まれるドリス、「チクショウ!!ただの悪戯じゃねぇかよ!!」

小さな窓から空を見上げ、理不尽な悪態をつくドリスの前、…いや、独房の外の壁越しに声が聞こえる。

「…メルヴィルさん、えらい事しちゃいましたね、」

「…ん?誰だ?」

「…私ですよ、『グレムリン』の店主の娘です。」

「ああ、お嬢ちゃんか、何の用だい?商売の話なら無理だかんな?
金ならもうすぐ全額無くなって借金生活が待ってんだよ。にしても変な店名に変えたもんだよ!」

看守に聞こえないようにそっと話しかけるドリス…しかし、少女の次の言葉に愕然とする。
「貴女、お金の心配より命の心配をした方が良さそうですよ?軍の資金源であるエネルギウムを
採掘する機械を跡形無く爆破したんです。たかが罰金で済む訳が無いでしょ?」

ガーン!!
思わず『ムンクの叫び』になるドリス、

「で、商談なんですが、そこから出たくないですか?取引に応じて頂けましたら、
そこから出れる上に新しい飛行機を差し上げましょう」

絶望の淵に立たされたドリスにこれを断る理由は皆無である。

「解った、で、どんな条件だ?」
「…では、そこから出てから御話致しましょうか、
あと一分後にこの壁からなるべく離れて姿勢を低くしてて下さい」

そして1分後、

独房の壁が跡形無く吹っ飛ぶ、

「さあ、行きましょうか」

少女は微笑みながら埃まみれのドリスに手を差し伸べる。

警備の手を掻い潜った二人は『グレムリン』所有のハンガーへと足を運んだ。

そこでドリスが見たものは、カーキ色のシートに包まれた1機の大型の機体、
インテーク付近から大型のカナード翼が生えている。

「これは…ビゲン…か?」
「そう、SK37ビゲン、これを差し上げる代わりに、貴女の腕を見込んで、
1人の少年に飛び方をレクチャーして欲しいのです。」

「ハァ?レクチャーだって?」
ドリスは素っ頓狂な声を上げる。 少女はそれをかわすかのように、
「貴女の経歴を見させて頂きました、数多の事件に隠れがちですが、
飛行教官だったそうね?それもかなりの実績のある…ね。さあ、入ってらっしゃい、ユーラ君」

二人が居るハンガーにパイロットスーツ姿の少年が入ってくる。

「…あ、あの…、」
「あら、良く似合うじゃない」

少女はユーラの姿を見て言った。

ドリスは少女に、「この少年のレクチャーをするのは解った、ビゲンも貰える、
でも私は脱走兵だよ?ここでの訓練は危険じゃないか?」

「ここでレクチャーして貰う訳ではありません、
その少年は家庭の事情で志望していたパイロットになれなかったのです。
エーロ軍、キクメン軍陣営では正規パイロットになれる訳が無い、
と言う訳でここから一番近いイシケン軍基地まで亡命して頂きます。」

ドリスはそう語る少女の言葉に納得したかのように
「…少年はパイロットになる為、私は生き延びる為って訳ね。」

「そう言う事です。さ、ユーラ君、このおばさんが懇切丁寧に教えてくれるからね!」

「あの、よろしくお願いします、おばさん」

ブチンっ!!

「おばさんっていうなぁぁぁ!!おねえさまって呼ばんくぁぁ!!コルァ!!」
バキッ!!
「ぐほっ!!」

ユーラから見たらドリスがおばさんに見えたのであろう、だが当のドリスにそんな理屈が通用する訳もなく、
その鳩尾に泣き叫ぶドリスの強烈なエルボーが容赦なく叩き込まれる。そして、

「小娘っ!!お前もだーっ!!」
 ガツンッ!!
「おごっ!!」

少女には涙のヘッドバットが叩き込まれる。

「おい、お前ら、今度おばさんっつったらタダじゃ済まんから覚悟しとけ?」
「す、すいません、教官」
「いたたた…もう、乱暴ですね…」

そして、「さぁて、準備しましょうか、お二人さん!」

「お嬢ちゃん、待て、赤いペンキあるかい?」
「?…ありますけど?」
「Eマークの上から×印を描いといてくれ」
「…意外と律儀なんですね」

数時間後、滑走路に立つ三人、
「しかし、お嬢ちゃん、本当に良いのか?こんな大変な事して…」
「良いんですよ、代償は貴女のホークのデータとショッパイヤでの戦闘記録って事で…」

「…まあ、いいか、で、行き先は?」

「ビゲンに入れてあります、あと、行きながらユーラ君に飛び方を教えてあげて下さいね。」

「ああ、解った、んで、ユーラ君?飛行機は全く初めてか?」
「…い、いえ、プロペラ機には乗りましたけど…」
「そう、じゃ前席に乗りな。」
そして、二人はビゲンに乗り込む。

「いってらっしゃーい!!」
ハンカチを振って見送る少女に応えるかのようにビゲンがタキシングに入る。

少女は二人を乗せたビゲンが見えなくなるまで灰色の空を見つめていた。

…スルメを食べながら、

やがて、ビゲンが見えなくなった頃、
「やっぱり脚が美味しいね」
…と、無理矢理タイトルに繋げつつ、少女はその場を後にした。

くっちゃ…クッチャ…くっちゃ

…続く

◆◆◆ 製作者:イソップ 氏 「 ビゲン 」 ◆◆◆








◆◆◆ キットレビュー ◆◆◆

エレールの黒箱のビゲンです。AJ、SF、SKの三種類のうち、練習機SK37をチョイスしました。

組みやすくていい感じと思いました、後でゾルを剥がしてキャノピーの傷を見つけるまでは

塗装は、グレー地にカーキやダークグリーンを思うままに重ねました。
武装は、ハセの武器セットからサイドワインダー、機関砲が無いので海軍用ガンポッド、
主翼外側のパイロンは海軍用ランチャーを真ん中でブッた切った物、
内側のパイロンはイーグルのランチャーを真ん中でブッた切った物です。

練習機に武装を後付して戦闘機とも張り合えるかな仕様です。

あと、デカールが白浮きしてしまいました。
Eのデカールが前回のホークで切らしましたので、殴り書きでEと描いてマルーンで×を描いて脱走仕様です。

ビゲンのストックはあと一機、そのうち組みます。



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