【 アホンダラ達の空 】

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◆◆◆ 明らかに体力を使う時は、バナナでも食えと誰かに聞いた ◆◆◆

ショッパイヤ平原の外れ…、傭兵募集の看板の前、
元オギリス空軍大尉、ドリス・メルヴィル(27)は、
フライトスーツが入ったボストンバッグに座り込み、
バナナを食いながら、自らの過去の栄光が綴られた航空雑誌を読んでいた。

…さて、読者の皆さん、何故「元」なのか気になる?気になるだろ?ええ?おい、
いいから聞いとけって、…と思ったけど面倒だから、彼女の読んでる雑誌の見出しだけ紹介。

「空軍初の女性隊員!可憐なるアクロチームの1番機!」

「フライングプリンセス・ドリスの華麗なる空の舞い!!」

「プリンセス・ドリス、ストレスでご乱心?
女王陛下に『勲章より金を寄越せ』と発砲!女王を逆モヒに」

「上官とスキャンダル?アマゾネス・ドリス、逆上してマスコミに発砲!
ドリス、軍を追われる。メルヘンシュタイン氏、関係ないかもしれないけど左遷」

…何で『元』なのかは解って頂けたと思う。

んで、バナナを食い終えたドリス、次は煙草を吸いながら悪態をつく…そして、

「クソットゥァリャーッ!!!!」
ベリベリィーッ!!(手にした雑誌を破く音)

さて、思い出し逆上を終えたドリスは店らしき看板を持った少女の姿に気付く、
『お洒落にピッタリ!戦闘機専門店、「メタルリンク」出血大サービス!!』

「あの…もう終わりました?前に連絡頂いたドリス・メルヴィルさんですか?」」
恐る恐る問いかける少女にドリスは、
「そうだけど、何かな?」
「私、店主の娘です、店主代理で来ました。ご注文頂いた飛行機の件で…」
「ああ、届いたの?ジャギュア、確か在庫が三機あるって…」
「ごめんなさい!!…売れちゃったんです。
おととい可笑しな三人組が押しかけて持ってっちゃったんです!」
「…なっ何やてぇぇ!!?」
ドリスは拳を震わせる。少女はひたすら謝る。
「ごめんなさい!それで換わりの飛行機の話をしに…」
それを聞いて怒りを納めるドリス、
「…まあいいか、んで機種は?」
「は…はい、えーと、ホークT1…です。」
「マジで?」
「え?…はい…、私は父ほど詳しくは無いんですけど、
操縦系をフルチューンしたアクロチーム使用機のホークらしいです。あの…聞いてます?」
「ジャギュアがホークになっちまった、ヤバい…どうしよう!音速出ないよ」
その場で愕然とするドリス、
「…まあいいか、使い慣れた機体だし、ウデでカバーしますか!」
「あと、父からサイドワインダー100発と機関砲弾2000発サービス、と書いてあります」
「よし乗った!!」
…いいのか?ホークだぞ?
ショップの少女は帳簿を見ながら、
「あと、機体の塗装を終えてから引き渡しますので、明後日にここに来て下さいね」
「あいよ!!色はお譲ちゃんに任せるよ!!」
武装のサービスに気を良くしたのか、ドリスは上機嫌でその場を後にした。

…ドリスが去り際に言った台詞が大きな災厄を生む事に気付きもせずに…

そして当日…件のホークを見たドリスは色めき立った気分が一気に吹っ飛んだ。
「何じゃあこの色はぁっ!!」
「あの、任せるって言ったじゃないですか?
丁度バナナを食べていらっしゃったので、相当お好きなのかな…って、
ほら、こうしてみるとバナナに見えてきません?」

ショップの少女は笑う…
ドリスは逆上する…

「何がバナナじゃあ!こんのヴァカチンがァァ!!塗り直さんかいコルァ!」
ボグゥゥゥッ!!
ドリス渾身の裏拳を喰らった少女は吹っ飛ばされる。
「良いですけど追加料金頂きます」
その言葉にドリスは怒りに震えながら、
「…解ったよ、んで装備の方は大丈夫なんだろうな?」
「はい、大丈夫の筈ですよ。ご確認されます?」
「ああ、そうするよ」
ドリスは軍で培われた観察眼で機体を見る。
こいつを己の手足としなければ戦場で生き残れない…そんな目で見ていた。
「(なかなか状態は良い様だ……ん!?)」
とある異変に気付いたドリス、ショップの少女に話しかける。
「おい、何?このテディベア」
「あ、はい!見たところ彼氏いらっしゃらなさそうでしたんで、私からのサービスです!」

「うるせーっ!!」
スパァァン!!
ドリス会心のブラジリアンキックが少女をとらえる。

そんなこんなで、取引も無事?終わり…
数日経った基地飛行場、少女はドリスが飛ぶ様を見に来ていた。

離陸前のコックピットの中のドリスに少女は話しかける。
「じゃあ、頑張って飛んでくださいね…」
「ああ…譲ちゃん、今回は装備品に免じて許すけど、今度は真っ当なもの仕入れときなよ?」
「はい、仕入れておきますね!おばさん!!」
ブチンッ!!
「こんガキャ!!絶対おちょくっとんな!!おい!そこ動くな!今から降りてそっち行くから!」

「駄目ですよ!ほら、あなたの番ですよ?早く飛ばなきゃ」

「コンチキショーッ!!憶えてやがれ!!」

散々おちょくられた彼女の絶叫は(バナナ)ホークのエンジン音にかき消されていった。

(続く)

◆◆◆ 製作者:イソップ 氏 「 ホークT1 」 ◆◆◆





◆◆◆ キットレビュー ◆◆◆

イタミヤのホークT1です。
とりあえず、サクサク組んでみて、
脳内アクロチーム機を作ろうと気付いたときには、武装を着けてしまった後でした、
んで仕方ないから黄色に塗ってしまえ → 半年後、黄色だけではちょっと… →
いま、バナナを食っている → ようしこの色だ!→ 今回に至る。

と言うわけです。グリーン塗る際のミスが悔やまれます。



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