初めての敗北から数日が過ぎた。 師から贈られた1機数億もする高価な機体を己の慢心から失ってしまったことは、 アンドレアスの心に深い悲しみを与えた。 しかし、そのような感傷に浸っている時間は戦場ではそう長くは続かなかった。 戦闘報告結果書類をタイプしていたアンドレアスが、 整備兵から呼び出され、ハンガーに行ってみると、 そこには真新しい1機の戦闘機が置かれていた。 これは・・・ その機体には自分の名が刻まれていた。 師から弟子に贈られたのは激励や叱りの言葉ではなく1機の戦闘機であった。 師の思いを理解するには、それだけで充分だった。 |