************ ストーリー前解説 ************ |
◆◆◆ ドッグファイト・サーカス ◆◆◆ 世界の各地でエネルギウムを奪い合う 血生臭い空の死闘が繰り広げられる中、 純粋に人々の目を楽しませる空戦競技ショーがあった。 それがドッグファイト・サーカスである。 機体の十数カ所にセンサーを取り付け、 模擬弾を使用しての迫力ある大空の戦闘は人々の興奮を呼んだ。 基本的にはプロペラ機こそがこのショーの花形であったが、 一部の旧式ジェット機も特別カテゴリーで参加していた。 そして、 アンドレアス・キ・クメンが恩師に出会ったのもこの時であった。 |
衝撃的だった。 父と兄と一緒に収穫物を市場に売りに行った帰りのことだった。 多くの観客の関心は闘いを目で追えるプロペラ機にあったが、 アンドレアスは違った。 一機の古いジェット機に心奪われたのだ。 その美しい蒼い機体は、信じられないほど優雅に、 あたかも機体自体が生きているかのように、 獲物を捕らえる猛禽のような動きをした。 これまで自分が操ってきた、 農薬散布飛行機とは飛び方がまるで違っていた。 エレガントに機体を操る操縦士が降りてきた時、さらに驚愕した。 あれほどの腕を駆使して機体を操っていた人物が、 まさか、自分の父よりも幾歳か年上に見える初老の人物だったからだ。 ・・・ アンドレアスは、その人物の機体のエンブレム・マークを授かることになるが、 それはまだ数年後の話である・・・ |