【 アホンダラ達の空 】

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◆◆◆ 《ロドリゲスの回想》 ◆◆◆

--- アホンダラの空サンプルストーリー外伝 ---

注)アホンダラの空サンプルストーリーは2003年以前のアホンダラにあります。

日暮れかかったテラスでゆったりとベンチに腰掛けパイプを燻らす、
妻が入れた冷たいアイスティーで喉を潤すこの時間が一番気に入っている。

ワシの名はロドリゲス・キ・クメン、ワシの一族が故郷、 プロトゲルからこの新天地、アメリアにやってきてから数十年の歳月が流れた。

その間、移民であるが為に酷い仕打ちも受けて来たし、
また逆に親切にもして貰った事も在る、まァ何処の世界でも良くある事じゃ、
そんな事は故郷を後にした時から覚悟はしていた。

一家は、ワシと妻、倅夫婦、それと可愛い4人の孫の8人、
孫は男2人と女が2人、小さい頃は農場が暇な時には良く近くの川に魚釣りに連れて行ったり、
家族総出でピクニックにも行ったりしたものじゃ。

今では一番上の男の子は立派な若者に成長した、寡黙だが力強い雄牛の様な風格を持ち合わせておる。

孫娘もそれぞれ成長し、二人とも花の様に美しく、心優しい娘に成長した。

そして一番末の孫、あの子が家を出て行った日がつい、最近のようじゃ・・・・・・




「お爺ちゃん、俺、パイロットになりたいんだ」

ある日、アンドレアスが収穫したオレンジを市に出した帰りに、ワシに切り出してきた。

「ホウ、しかしオマエは父さんと一緒に飛行機を飛ばしているじゃないか、
もう立派なパイロットじゃよ」

しかし、孫の目は遠くを見ていた、農薬散布機如きのパイロットの事ではないと、直ぐに悟った。

「お爺ちゃん、俺、ドックファイターになりたいんだ、ジェット機で大空を飛んでみたいんだよ」
「しかしのう、そんな簡単になれるものでは・・・・」
「解っている、でもあの日から俺、決めたんだ」

ワシは孫のを目を見つめた、曇りの無い澄んだ瞳は、すでに大空に向かってジッと見開かれておった・・・・・・・・

父親と市に出かけた帰りに、たまたま興行していたドッグファイトサーカスを観戦してきた事、
其の中の1人のパイロットの事・・・・・

其の話を何度もワシらに話し、目を輝かせていたあの日・・・・・・
この日が何時来るかと、妻と二人で語り合った夜・・・・・

とうとうこの日が来てしまった・・・止める事は叶わんじゃろう、
それだけに悲しみが、可愛い孫と離れる辛さが心に覆い被さって来る。

其の夜、遅い夕食が済んだ後でアンドレが話を持ち出した。

当然、家族は反対、特に妻は孫の中でもこの子を溺愛していた、
気も狂わんばかりに猛反対した、この子の両親も、兄弟も、呆気に取られる程に・・・・・

祖母、母親、そして2人の姉と、幼い頃から女ばかりに囲まれて育ったこの子は聡明だが反面、
感受性が高く性格が大人し過ぎると家の男衆で心配していた、
が、まさかここまではっきり自分を主張出来る子に育っていようとは・・・・

嬉しい限りだが、其の目標が例えゲームと言えど戦闘機乗りとは・・・・・
女衆が騒ぎ立てるのも無理は無い、
当時、既に一家の働き手として成長していたこの子の兄も流石にこの時ばかりは反対した・・・・・・

「そんな金持ちの遊びなんかよりも、家業の方が大事だろう?」
「解っている、けど、もう押えられないんだ!」
「そんな危ない事はやめて頂戴、姉さん達アナタが家の飛行機に乗るのも心配だってのに」
「いつまでも子ども扱いしないで! この間も急に突風に煽られた時だってちゃんと乗りこなしたじゃないか」

両親は黙ってやり取りを見ていたがやがて静かに口を開いた。

「アンドレ、そんなにドッグファイターになりたいのか?」
「ウン、父さん、解っておくれよ、兄さん達には悪いけど、俺・・・」
「アナタ・・・・」
「ウム・・・覚悟は出来ているんだな?」
「ああ」
「ゲームといえど、一歩間違えば・・・誰の責任でも無いんだぞ?」
「解っている、覚悟は・・・・」

沈黙の後、倅が口を開いた、ワシは其の答えを悟っているだけに胸が張り裂けんばかりじゃった。

「よかろう、思った通りに生きて見ろ、お前の人生だ、誰も止める権利は無い・・・例え私たちや・・・神でも」
「父さん! 解ってくれたんだね? 有難う!!」

もっとも。その時は家の誰もがこの子が戦場にまで出ようとは思っても居なかったがの・・・・・・・
勿論、当のアンドレアスも・・・・・




こうして出発の朝、アンドレは眩しい朝日の中を新しい人生に向かって歩き出した。

「行って来ます、必ずエースになって帰ってくるから!」

そう一言だけ残して・・・・・・・・

アンドレの師匠となる人物がワシに語りかけて来た・・・・

「お孫さんを御預かり致します、必ず立派なパイロットに、素質は・・・・」
「もうええ、行ってくだされ、未練が残るばかりじゃ・・・」
「では・・」

家族に向かって一礼すると迎えの軽飛行機に乗り込み飛び立って行ってしまった、
皆で空を見上げて居ると、ワシらの上空で2回旋回し、翼を振って行ってしまった。

「アンドレめ、粋な挨拶をして行ったワイ・・・」
「なにが粋なモンですか・・・可愛いあの子が・・ああ、神様、どうぞお守り下さい」

女衆が泣きながら見送る・・・・

男衆はじっと見送っていたかと思うと、

「さあ、仕事だ、西の畑が収穫できる、今日は忙しいぞ・・・」

とぶっきらぼうに言い残し仕事に向かった、悲しいのは同じじゃろうに、
無理に無関心を装っておるのが解る。




こうして、ワシらの可愛いアンドレは去って行ってしまった、
時々手紙を書いて寄越して来よるが内容はいつもサッパリとした物じゃ、
上空での戦いがそうさせてしまったのかも知れん。

そうじゃった、今度アンドレの誕生日には家族総出で祝ってやろうと一番上の孫が言い出した、
ワシらにはナイショで家族揃って乗れる小型の双発機まで用意しており居った。

「やるのお、何だかんだと言いながら其処までやるとは・・・」

そう冷やかすと孫は・・・

「違うよ、ジッちゃん、コイツは家の農園のPR用に買った飛行機だ、そんな事に使う為に・・・」
「解った解った、もうええ」

実際、機体にはワシらの農園の名前がでかでかと書かれておる、
最近孫たちが始めた農園のホームページとやらの宛先も翼と胴体に書き込んである。
(なんの事やらサッパリ解らんがの、兎に角便利なモノらしい)

女衆はあの子が好きだったオレンジのジャムを大量に作って貯めこんでおる、
倅と一番上の孫は相変らず黙って仕事に精を出しておる。

長距離を飛ぶ為に修理をせにゃならんと言って居ったが、
今日はその修理屋が来る手はずになって居ったの・・・・・

予定じゃそろそろ到着する筈じゃ、どれ、飛行場に行って出迎えるとするかの、
アンドレに会う為にはしっかりと直して貰わんとならんで。

☆End




今日は、KEIです。

今回は自作、外伝『ちびっ子ママは大忙し1・2』 それからキクメンさんのドッグファイトサーカス、
サンプルストーリー『ある男、アンドレアス・キ・クメンの生涯 エピソード I』
『 ファーストコンタクト ・ ジェット機との遭遇 』 に絡めたストーリーとして書いてみました。

キクメンさんの作品中、アンドレアス・キ・クメンの家族の名前は、祖父のロドリゲスだけだったので、
他のキャラの名前を勝手に付ける訳にも行かず、少々難儀いたしました。

アホンダラな要素は今回はチョッとお休みして、少しシリアス路線で書いてみましたが如何だったでしょうか?

もっとも、今回選んだモデルが、か〜なりマイナーでショッパイ機体でしたのでご勘弁の程を・・・・・
(こんなの選んで作るアホンダラと言う事で・・・・・・・)

ではこの辺りでキット紹介です。

エアフィックス、ショーツ・スカイヴァン 1/72スケール 価格(スンマセン、ど忘れしちゃいました)



翼端(フラップ側)のアドレスは無効です(笑)







比較物は東京マルイ、ガバメント
で、でかい(汗)



収納はバラして・・・・・・・・

兎に角大変でした、細かいパーツが多く、オマケにお煎餅の耳付き(苦笑)
パーツの見える部分に堂々と突き出しピンの跡・・・・・・・

合いは悪いし、素材も柔らか過ぎ、接着剤を付けすぎると溶けちゃってドロドロ(オイオイ)
まァ、チョイスした私が悪いのですが、それでも楽しく(!?) 製作できました。

マーキングですが、今回はサンワサプライの耐水ホワイトラベルを使用、
いつものつや消し透明では、ワードアートで製作したマークが目立たないのでコレのチョイスです。

もっとも、最初から其れを狙って機体の基本色は白にしました、
機体下面と昇降舵はメリハリをだすため明るめに調色したオレンジ、アンテナ類は赤、
ノーズコーンは黒としてみましたが如何でしょうか?

また、今回のキットは主翼並びに支柱は接着しておりません、パーツをはめ込んだ状態で撮影しました、
理由は・・・・・ご覧の様にあまりにも大きく、展示スペースが無いので、収納し易くする為です。(汗)

本当は使い込んだ機体を表現しようと、汚し塗装を施し、其の上から厚ぼったく塗り直したのを表現してみたのですが、
写真にしちゃうと均一に白くなっちゃいました(爆)

まあ、おかげでラベルの段差も目立たなくなったのですが(苦笑)

エラク長い解説になりました、それではこの辺りで、次回作は・・・・・・・
現在思案中です、それでは。


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