【 アホンダラ達の空 】
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◆◆◆ 《ちびっ子ママは大忙し》 ◆◆◆
--- ドッグファイトサーカス外伝 ---
「ほらァ、パパ! 何時まで寝てるの!? 早く起きてよォ!!」
「ウ・・・・ウ〜〜ン・・・よせったらマリア〜ン・・・」
「な〜〜にが『マリア〜ン』よ! いい加減起きなさい!!」
乱暴に毛布を剥ぎ取る、勢い余ってパパまでベッドから(いや、正確にはソファから)
転がり落ちる・・・・・
「いってェなァ、もっと静かに起こせねえのか、このクソガキャァ!!」
「ナニ言ってんのよ! 『明日は早く起こせ、絶対起こせ、何が何でも起こせ』って言ったのはパパでしょ!」
「・・・・・・・あ・・・・・」
「な〜〜にすっ呆けてるのよ!・・・・・はァ・・・ママが出て行った気持ちが解るわ・・・・・・」
半ば強引にこのグウタラオヤジをたたき起こすと、今度はオンボロハンガーに行く、
トタン屋根は雨漏りが酷く、先週から居候のディック兄ちゃんが一人で修理に取り掛かっている。
相変わらず散らかって整理できていないハンガー・・・・・・
ディック兄ちゃんはこのハンガーの隅に寝泊りしている。
「お兄ちゃん、ほら、ディック兄ちゃん! 起きてよ、もう朝よ」
「う・・う〜〜ん・・・キャシ〜・・駄目だってそこは・・・・・」
・・・・家の男共は〜・・・・ったく・・・・・・・・
「ほら起きろ! ディック!!」
パパと同じように無理やり毛布を剥ぎ取る・・・・・・・ん?
「キャ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」
「な、ナンだ?どうした!?」
私の悲鳴でディック兄ちゃんが飛び起きる・・・・
が、それは更に私に悲鳴を上げさせるに充分な行為だった・・・・・
「どうした? ジェシー!?」
「○△☆!!??★!?」
「な、ナニ言ってんだ? 落ち着けって!」
気を取り直し、兄ちゃんの方を見ずに脚を思いっきり蹴り上げる・・・・・
ヒットした瞬間、何か柔らかい感触が爪先に走る・・・(ウゲッ!)
鳥肌が立つような感触をこらえ、そのまま脚を一気に振り抜いた。
「うぎゃ〜〜〜〜っ!?」
「ハア、ハア、・・・・さっさと何か着なさい!!」
「★×△□・・・・・は、ハイ・・・・ガクッ」
ウン、一機撃墜、キルマークが増えたわ。
ったく、ボロソファで寝るのは良いとしてもナンで素っ裸なのよッ!?
年頃の女の子が居るって言うのに・・・信じらんない!
私はジェシー・ミラー、14歳、家族はパパのベン、居候のディック兄ちゃん、それから・・・・・・
「バゥワゥ!」
「オハヨ! ジョン!!」
それから犬のジョン、今はこの3人と1匹、ママは・・・・・・
ママはさっき説明した様に、私が12の頃に家を出て行っちゃった・・・・
パパのドッグファイト狂いが原因で二人で大喧嘩、
小さな整備工場をやっていたパパはドッグファイト専門のメカニックになるんだと息巻いて、
家族の事なんかほったらかしで世界中飛び回っていたモンだからママも愛想をつかしたのね。
なんだかんだ言いながら時々は私に会いに来てくれるのが唯一の救いと言えばそうなんだけど・・・・
この有様をみたらあっと言う間に親権がママに移っちゃうわね、ハア・・・・
「ほらァ 二人がモタモタしてるからコーヒーすっかり冷めちゃったじゃないのォ・・・・・」
「・・・オイ、ディック、ハンガーの雨漏り直ったか?」
「ああ、うん、・・・いててて」
「? どした?」
「い、イヤ・・・その・・・・ジェシーに・・・」
「ワ・タ・シ がどうしたの? 悪いのはそっちでしょ!」
「そうでした、ハイ・・・え、え〜と 屋根は治ったよ」
「そうか?」
私はディック兄ちゃんを睨み付けながらテーブルに朝食を並べていた。
「さ、今日は忙しいんでしょ? さっさと食べて頂戴、私だって学校に行かなきゃ」
「あ、ああ、そうだった・・・」
「今日はオレンジ畑で使ってる散布用軽飛行機の修理でしたっけ?」
口の端から、パンくずをポロポロこぼしながらパパが答える。
「ああ、え〜と確かクメン農場・・・だったっけ?」
「散布用じゃなく、宣伝だか直売用に使っている双発機よ、しっかりしてよね!」
そのこぼれたパンくずを拭き取りながら私が返す、 ったく、受注した内容くらい覚えときなさいよ・・・・
其れを誤魔化すかのようにディック兄ちゃんが次の話題に話を振る。
「あ、あそこのセガレ、一時ドッグファイトじゃスター選手だったらしいですよ」
「へ〜、詳しいな、今ナニやってんだ、そのセガレは?」
「何でも今は戦場に行ってるみたいです」
「例のなんたら言う新エネルギーの争奪戦か?」
「おしい! エネルギウムですよ、親方」
「何でも良いが、それで空飛べるんなら良いけどな、最近車も飛行機もガス代が高くて参るぜ」
「ほらほら、おしゃべりは其処まで!! いい加減仕事に・・・・」
「ハイハイ、じゃあな、2日程空けるからな、気をつけるんだぞ」
「解っているわ、じゃあね」
パパとディック兄ちゃんを送り出す、二人はオンボロ軽飛行機に修理用機材を手際良く詰め込むと、
石ころや雑草が顔を出している滑走路から飛び出していった・・・・・
よくもマァ、この滑走路で車輪を引っ掛けないモンだ・・・・・
普段は全くのグウタラ親父とその子分だけど、修理と操縦に関してはピカイチだ、
流石にこれだけは認めざるを得ない、おっと、感心してる場合じゃないわ、
そろそろ私も学校に行かなきゃ・・・・
「ジョン!! おいで!」
「バゥワゥ ワゥ!」
戸締りをしてから自転車に跨りジョンを呼ぶと、嬉しそうに尻尾を振って駆け寄ってくる。
「さ、行くよ、今日も学校まで競争よ」
「バゥ!!」
ペダルを思いっきり踏み出す、朝の風が気持ちいい・・・・
End★
皆様如何御過しでしょうか? KEIです。
前回に引き続き、今回もストーリのみの作品です、
なんせ突き指(ネタが無い)が痛いもんで模型が作れません(涙)
さて、今回の主人公はアメリアの片田舎に住む14歳の女の子♪
両親が離婚していて、飛行機整備士の父親と一緒に暮らしております。
父親は小さな整備工場を営んで居ります、
グウタラですが技術屋としての評判の良い父親は居候の従業員
(と言っても一人だけ)と一緒にしょちゅう家を空けております。
娘はその間、家を出て行った母親に会うのが楽しみ、と言ったお話ですが、
今回はそんな慌しい朝の一コマを抜き取ってみました。
尚、文中のオレンジ農場はキクメンさんのドッグファイトサーカスのサンプルストーリーに
在った物です、今回勝手に絡ませて頂きました
作品のヒントを下さり有難う御座いました(ペコリ)
さあ、如何だったでしょうか? 次回作はこのお話に絡めてキチンと模型も作って行きたいと思います、
どうぞお楽しみに。
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