************ ストーリー前解説 ************ |
前回までのあらすじ 北極海で数分間エネルギウムの反応があり、そして消えた。 そんな、不確かな情報で世界各国は北極の海に調査隊を送り込んだ。 一見、静かで真っ白の何もない世界が、ここ1ヶ月は空も海も海中も いたるところに各国が派遣した航空機や艦船で埋め尽くされている。 現在エネルギウムが発見されていないので戦闘には至っていないが、 北極海は大気温度以上にHOTな海域である。 |
************ ストーリー解説 ************
イシケン作 エーロ連合軍 JAGUARです。 北極海の有事に備えて各軍の動きはあわただしくなっている。 エーロ連合軍も指揮系統の統一と兵力運用を考慮し、 ラスア国境沿いの地域で大規模な演習を実施した。 彼、マーティン・ブランデルも演習に参加した一人であった。 演習自体は成功を収め、彼と愛機JAGUARは所属基地への帰路についていた。 離陸前のブリーフィングでは天候は曇り、低高度に霧との気象情報を確認していた。 しかし、実際に飛び立つと霧は濃霧であり、雲は中高度まで覆い尽くし 視界は最悪、僚機を目視することも困難であった。 高度をとろうと僚機と連絡を入れようとしたところでトラブルに気がついた。 ラジオはノイズだらけで僚機との連絡が取れないのである。 緯度が高いこの地域では、強烈な太陽風の影響があると電磁波が乱れるのである。 またそれは各種電子機器にも悪影響を及ぼす、短波、長波共に受信状態は不良。 そして、彼は自分の位置を見失った。 愛機JAGUARは攻撃機としての汎用性を誇り 対地、対艦攻撃を目的とした航法装置は優秀さを誇っていた。 しかし、それは攻撃用の装置であり、全天候航行を保証するものではない。 「こうなると昔ながらの天体観測航法しかないな・・・」 マーティンは忌々しい雲の上へと一気に上昇する、 時間は午後2時、真冬の太陽は水平線上にあり弱々しく輝いている。 太腿のマップとオメガの時計を元に位置を求める、暫しの時間を食ってしまった。 「どうやら、かなり北に出てしまったらしい」 ジャイロをリセットし西へ進路を取ろうとしたところに唐突に無線が入った。 無線が回復したと喜んだのも束の間、その内容に驚くことになる。 「貴君はラスアの領空に接近している、速やかに転進せよ、繰り返す・・・」 急ぎマップと太陽を見比べている間に2機のMiGに囲まれることになった。 北に向いていたではなかった、正解は東に流されていたであった。 天体観測航法の為、高度を上げた事で高速のジェット気流に捕まってしまったのだ。 MiGとの交信を行い事情を説明すると散々追い立てられ 摘み出されるように西航路へのビーコンポイントへ到達した。 回復した無線でエーロ連合へ連絡をとり帰路の指示を仰ぐ 電子機器も回復した燃料はギリギリだが何とか基地へ戻れる。 我に返り不意に背筋が寒くなる、まずは迷子・・・ そしてフル爆装の戦闘機を問答無用で撃ち落さなかったMiGに・・・。 眼下を覗き込むそこは霧が晴れ一面の麦畑が広がっていた。 全く酷い目にあった。 |