【 アホンダラ達の空 】

ドッグファイト・サーカス の入り口へ戻る

アホンダラ達の空 の入り口へ戻る



◆◆◆ 空飛ぶコック ◆◆◆

「おい、バンビーノ! 何もたついてんだ? さっさとこのパスタ茹で上げろ!」
「ほらそこ! オーダー詰まって来て居るんだろ!? 早く出してしまえ!」

昼のキッチンは大忙しだ、俺はこのキッチンを任されている一応チーフだ、
・・・ったく、最近の若いヤツときたら、パスタも満足に茹で上げられない・・・

俺がヒヨッコの頃にゃ、こんなにもたついて居たら確実にオヤジ(親方)の怒鳴り声と
熱い鍋が飛んで来たモンだって言うのに・・・・・

今時の若い連中に昔の態度で接していたら3日と持たねェンだからイヤになるゼ・・・・

「チーフ、パスタ上がりました! ソースは?」
「オウ! ナスと海鮮のトマトソースバジリコ風味だ、用意出来てるか、マルコ?」
「OK、ヘイ、バンビーノ、コッチに廻しな!」
「御願いします」

「ちょっとォ、海老とカニのピザ、まだ出来ないのォ?」
「おう、今上がった所だ、ルチアーノ、皿の用意出来ってか?」
「オウ、いつでもイイゼ」
「待たせたな、フィオリーナ、ほら、6番のテラスだ」
「落とすんじゃね〜ぞ」
「ハ〜イ♪ 6番上がりましたァ〜」

素早く、しかし丁寧に料理を盛りつけた皿を、給仕の娘の渡す、
しかし、この娘は相変わらず可愛い・・・おっと!
ピッツァの釜戸が大変だ! オイオイ誰だ、釜戸の扉、開けっ放したのは?
(実は俺だったりして・・・)

・・・・

此処はイタイアン・レストランテ、カフェ・エアロ、今日もキッチンは大忙しです

チーフのパゴット始め、キッチンからホールまで10人で切り盛りしている
中堅クラスのレストランですが、なかなかの繁盛振り・・・・

最初はパゴットと、仲間数名で始めたオープンテラスの屋台でしたが、
お陰で今はこうしてレストランを経営するまでになりました。

でもパゴットには料理人の他にもう一つ別の顔が在ったのです、それは・・・・・・

「ふう、漸く終わったな・・・よし、俺達もメシにするか」
「今日は僕がまかないを用意しました」
「どれ、少しは喰えるモン出来たんだろうな? バンビーノ」
「はい、今日はパエリアと海鮮ラビオリです」

ほ〜、海鮮のラビオリか・・・どれ・・モグモグ・・・ごっくん・・・
「おお! 腕上げたな、こりゃイケるぜ」
「マジっすか? よかったぁ〜」
「ところでパゴット、明日はアレだろ? 練習はいいのか?」
「あ? ああ、今更ジタバタしたって始まんねえからな、ま、なんとかするさ」
「え? なんです、センパイ、その練習って?」
「ああ、バンビーノは知らなかったな、コイツはな・・・・」

俺はお喋りのルチアーノの言葉を遮った
「ヘイ、ンなこたぁどうだっていいんだ、サッサと喰って夜の仕度しねえと・・・」
「あ、ああ・・・スマン」

実は俺は料理人の他にもう一つ仕事がある・・・・
ソレは今世界中で大ブレイクしている『ドッグファイトサーカス』のパイロットだ。

え? 料理人がなんで空戦ショーのパイロットなんかやっているんだって?
それはだな・・・・・・

「へー、おじいさんの頃から代々ですか・・・」
「ああ、苦労もするが・・・でも飛ぶのはスキだからな」
「でも知らなかったです、一定時間飛ばなきゃライセンス無くなるんですね」
「まあな、それで時間稼ぎでドッグファイトやっているんだ」

それでも年間飛行時間ギリギリってのはキツイ、ましてレストランの仕事も好きだから
仕方が無いと言えば仕方が無い、もう慣れっこさ。

さ〜て、店は相棒のルチアーノに任せて明日から2週間、俺は大空の中を自由に飛び回るとするか・・・・

「でもチーフ、皆は良く了解してくれますね?」
「ああん? それはだな、俺が出ると店が繁盛すっからだよ」
「え? そうなんですか??」
「ああ、『ドッグファイターのレストランテ』ってな、ま、看板みたいなもんさ」
「ああ・・・それで店の名前も来てくれるお客も・・・」
「な? 飛行機好きが多いだろ?」

・・・・と、言う訳だ、家の家系は代々空軍パイロットの家系で俺だけが料理人になっちまった。

それでも飛行機が好きで民間の飛行学校を出て趣味で飛んでいるのだが、店の経営をしていると
飛行時間が足りなくなっちまう、其処で考えたのがドッグファイターを掛け持ちして
年間飛行時間を稼ごうって魂胆だ。

勿論、海外でのゲームにゃ参加は出来ない、イタイア国内でのゲームに限るが、
それでも大助かりだ、さっきも言ったが店の宣伝にもなるから一石二鳥ってやつだ。

「でもなぁ・・・」

ん?なんだ、ルチアーノ・・・・

「お前の飛行機・・・アレ、なんとかならねェのか?」
「な、なんだよォ・・」
「なんだよ、あのカラーは・・・まぁ、愛国心が出ているのはいいが・・・」
「う・ウルサイ、気に入ってるんだから構わないだろう?」
「いい加減偽名で出るのはやめたらどうだ?」
「本名で出たらエライ事になるんだ・・・昔オレの爺さんと親父に手酷くやられた連中が・・・」
「ああ、そうだったな、でもアノ名前だけは辞めたほうが・・・」

確かに、学校のお偉いさんやPTAの奥さん連中には評判が悪いだろうな・・・・

オレはドッグファイトに出るときには別の名前で出ている・・・・・
ソレは・・・・

『さぁ、今年もやって参りましたドッグファイトサーカス イン イタイア!
今年のオープニングゲームは・・・』

俺の名前がコールされる、毎年この瞬間が一番興奮する・・・・

『イタイアのテスタロッサ! ラッシーヴォ・スタッローネ!!』

*********************************************
KEIのイタイア語講座

 テスタロッサ=赤の一番・頭
 ラッシーヴォ=スケベ(な)
 スタッローネ=種馬
*********************************************

ううう・・・た、たまらん、この時ばかりは料理は忘れて1人のパイロットになる・・・・

「さ、いっくぜー! どいつだ、オレに撃墜(おと)されたいヤツは?
下ごしらえから仕上げまでキッチリ料理してやる!」

愛機マッキC,202のフォルゴーレエンジンが唸りを上げる、機体が振るえ心地良い振動が伝わる・・・・
爺様譲りの旧い機体だが、現役バリバリのスゲェ機体だ。

下拵えは充分だ、激しいGのスパイスを効かせ繊細な包丁使いのように相手を追い込む。

熱くなったフライパンで炒め上げる様な攻撃を加え、相手に撃墜スモークをたなびかせ料理完成だ・・・・・
後は華麗に盛り付けるかのような派手なアクロバットを決め観客に応える。

あれ? なんだかんだ言ってるが結局料理が頭から離れねえや・・・・

THE END

どうもです、久しぶりの作品が出来ました。
相変わらずの間抜けで無理やりこじつけのストーリー展開ですが、其処はあまりツッコマないで下さい(^^;

え〜・・機体の製作も相変わらずチャチでスミマセン、今回特に塗装が・・・・
フラットベースを混入した塗料を吹いた後は、入念にエアブラシの洗浄をしましょう・・・・・・
(さ〜て・・・モ子ちゃんの塗装ガイド読み返すか・・・・・切腹ッ!!)

ちなみに出演者の名前は・・・・スンマセン! なかなか思いつかず、
結局あちこちからパクッてきました(^^;
(誰が何処からかわかるかな〜)

参考までに『バンビーノ』はイタリア語で『坊や』の意味です、
今回は駆け出しコックの意味で使いました。

今回のキット ハセガワ マッキC.202 カバリーノラパンテ 1:48スケール






ああ・・・なんちゅう勿体無いミスを・・・・・・
工作の不味さは塗装でカバー・・・な〜んて思っていたのですが、
肝心の塗装を見事に失敗しましたっと(駄目ジャン!!)

次回はきっと度肝を抜く作品に仕上げて見せるゾ(マジ?)



ドッグファイト・サーカス の入り口へ戻る

アホンダラ達の空 の入り口へ戻る